APIs (Astronomical Private Information society)

背景

APIs (Astronomical Private Information society)は、世の中に溢れる情報を集約し、匿名加工情報として提供するプラットフォーム構築を目指す研究開発プロジェクトです。

近年、インターネット技術の発達に伴い、人々の行動履歴やモノの情報をデジタルデータとして収集し、利用するようになりました。しかし、収集された情報の多くは、個人情報保護の観点から個々のサービス運営会社や収集した企業の中で管理・利用されています。このため、収集できる情報量に応じて、情報分析で得られるノウハウやサービス応用できる内容に格差が生まれる問題が発生してきています。

また、一方で、データ利活用の側面において、上記のような情報を収集していた企業から他の企業に対して、情報の匿名加工を施すことでデータ提供を行うことが行われ始めています。しかし、個人情報のような保護されるべきデータから統計情報を作成・提供するには、専門的な知識を必要とする上、業種や業界によって適用される規制やガイドラインが異なっています。このため、各社がそれぞれ知見を溜めて統計情報を作成するような対応を行なっています。しかし、「『個人情報』の言葉が、氏名や住所のような限定された情報のみを指しているという誤解が存在する」、「k-匿名化のような安全性指標の設定が各社で対応しており、問題が顕著化するまで秘匿される上、技術的な情報までは公開されない現実がある」と言った問題が存在しており、問題発見とプロセス改善が難しい状況にあります。

APIs プロジェクトは、この問題を解決するため、ブロックチェーンの中に情報を集約し、匿名加工技術を用いて2次利用可能な情報を提供することで、データ利活用を促進するプラットフォームを構築することを目指して設立されました。

APIsVision

プロジェクト名の由来

APIs(Astronomical Private Information society)の意味:無数に存在する隠されている情報が集約された世界

また、Apisという単語には、ミツバチという意味があります。このミツバチの世界は、「巣から放たれた無数の働きバチが、花(個人、システム)の蜜(情報)を巣(APIs)に集めてくる。そして、集められた蜜は、ハチミツやロイヤルゼリーとして加工され(匿名化情報)、人々や幼虫に食べられ(データ利活用)、これによって成長した人や働きバチによって新たな巣が作られて蜜が集められる。」ということが繰り返されています。このミツバチの世界のように、APIsも、情報を集約し、匿名加工された情報を利用して新たな情報が入ってくる世界を構築したいという意味を込めています。

研究カテゴリ

情報収集

テーマ:

  • 複数の情報源から収集した情報を正規化する
  • 信頼性の高い情報のみを選別する

APIsが集約する情報は、「①既存サービスが収集している情報」、「②個人に紐付く情報」、「③他のブロックチェーンサービスが管理している情報」の3つカテゴリに分かれています。これらの情報の集約は、それぞれ方法が異なります。また、オラクル問題に起因するように、データプロバイダーが増加すると共に情報の信頼価値が低いデータがブロックチェーン上に記録されてしまう問題があります。

関連技術(一部)

  • センサ技術
  • ブロックチェーン
  • Self-Sovereign Identity
  • データ前処理

匿名加工/データ利活用

テーマ: APIs が提供する匿名加工情報の有益性を最適化する

APIsは、収集した情報を有益性のある匿名加工情報へ自動的に加工し、提供することを目的にしています。しかし、匿名加工情報は、有益性が高い情報であるほど個人の再特定されるリスクが高くなる傾向があります。さらに、このリスクは、匿名加工情報を利用する人が過去に得た知識や、情報処理に関する能力により変動します。これらのパラメータから、提供する匿名加工情報の有益性と再特定リスクをスコア化するための研究開発を行います。

関連技術(一部)

  • 暗号技術
  • 匿名技術
  • データマイニング
  • データ解析
  • 機械学習

データの追跡

テーマ: APIs が提供した匿名加工情報を追跡し、目的外利用や再特定防止を実現する

APIsから取得できる匿名加工情報は、実際に利用する個人(組織情報も計測する)に有益性と再特定リスクの度合いを最適化しています。しかし、提供した匿名加工情報は、他の情報と組み合わせて利用されたり、第三者にAPIsの外で再提供されるようなことも考えられます。このような利用シーンを想定し、提供済みの匿名加工情報を追跡して、誰に提供した情報から個人が再特定され、被害が出る可能性があるのかを推測する技術を研究開発します。

関連技術(一部)

  • User-Managed Access
  • ブロックチェーン
  • データ解析
  • 機械学習

分散型アイデンティティ

テーマ: APIs を利用する人の属性や能力を計測できるアイデンティティ管理を実現する

例えば、病院関係の仕事をしていた人が、出版業界に移り、匿名加工情報と病院時代に獲得した知識から個人を特定してデモンストレーション攻撃が行われる可能性があります。さらに、情報提供したサービスの担当者が、自分たちの情報がどのような形に匿名加工されているのかを確認したい場合に、他の利用者と同じようにリスク計測される必要はありません。また、現在の中央集権的なアイデンティティ管理システムの場合、個人に紐づく情報はシステム側に紐づいており、個人が管理していないため、参照が難しい問題があります。このため、分散型のアイデンティティ管理を行い、個人の属性や能力を測定できるようにする技術を研究開発します。

関連技術(一部)

  • ブロックチェーン
  • インターオペラビリティ
  • Self-Sovereign Identity
  • MSPD(Multiple-Subject Personal Data)/IPD(Interdependent Personal Data)

P2P型秘匿データベース

テーマ: APIs に保存するデータをセキュリティを確保しながら分散管理できるデータベースを実現する

APIsは、世の中で溢れる情報を全員が管理する共有データベースで運用されることを想定しています。例えば、ブロックチェーンのような全員が同じ情報を保持する形式で管理すると、もしネットワーク内に不正なデータ参照をするユーザが現れた場合、登録されている情報を全て閲覧できてしまう問題があります。また、BitcoinやEthereumで発生しているように、データ容量が大きくなり、スケーラビリティが確保できない問題も存在します。一方で、匿名加工情報を参照する際に、実際のデータを加工する必要があるため、分散管理するデータを即座に復元して加工できるようにする必要があります。これらの問題を解決できるP2P型秘密データベース技術の研究開発を行います。

関連技術(一部)

  • 暗号技術
  • 分散処理
  • 分散データベース
  • ブロックチェーン
  • P2Pネットワーク

トークンエコノミー

テーマ: APIs が社会インフラとなるためのエコシステムを実現する

APIsを社会実装する場合、情報を提供してもらうためのインセンティブや、情報を参照するための利用者の信用度を測定することが必要となります。また、情報提供や情報の利用が何度も行われ、運用主体なしに匿名加工やデータ利活用のノウハウが蓄積されるプラットフォームを実現したいと考えています。この目標を達成するためには、企業や個人が主体的に情報を提供し、サービス開発者が情報を参照するようなエコシステムが必要となります。この分野は、このエコシステムを構築するための理論や技術を研究開発する分野です。

関連技術(一部)

  • ブロックチェーン
  • ゲーム理論
  • 社会経済学

Contact

Contact