Hi-Con2018に参加&協賛してきました!【中編】

先日、Ho-Con2018というEthereum開発者向けのカンファレンスが慶應義塾大学日吉キャンパスにて行われました!
主催はHi-Ether(Ethereum 開発者向けコミュニティ)さんで、CyberAgent ブロックチェーンスタジオもシルバースポンサーとして協賛させて頂きました。
曽和さんの記事に引き続き、午後の部のセッションを振り返ってみたいと思います。

zk-SNARKsの理論と応用 / Theory and practice of zk-SNARKs

zk-SNARKsについての理論と応用についてのセッションでした。

簡単に言うとzk-SNARKsはゼロ知識証明を元にした技術の1つです。ゼロ知識証明自体はブロックチェーンが出来てから考えられた概念ではなく、数十年前からある概念です。

暗号学において、ゼロ知識証明(ぜろちしきしょうめい、zero-knowledge proof)とは、ある人が他の人に、自分の持っている(通常、数学的な)命題が真であることを伝えるのに、真であること以外の何の知識も伝えることなく証明できるようなやりとりの手法である。ゼロ知識対話証明(ZKIP)とも呼ばれる。

引用 Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%83%AD%E7%9F%A5%E8%AD%98%E8%A8%BC%E6%98%8E

ちょっと分かりにくいかもしれませんが、応用例にある公開鍵暗号などで考えるとイメージがつきやすいかと思います。私自身、この概念については理解が不十分な部分もあったのですが、このセッションで理解を深めることができました。実際にこの技術はブロックチェーンだとZCashなどで利用されています。ZCashではトランザクションが正当に行われた事を記録し、送金者や受取人、送金した額などはオンチェーン上からは確認出来ないようにするために使われています。

実際にzk-SNARKsがどのような理論により検証されるのかなど詳しい解説もあったのですが、とても高度な内容だったため、完全に理解することは難しかったです。そんな中でも積極的に質問されている方もいらっしゃったので、参加者の関心の高さが伺えました。

mercariX ~Decentralized Marketplace~

次に聞いてきたのはメルカリさんのセッションです。
社内で実験的に運用されているサービス「mercariX」に関する内容で、開発に至った経緯やサービスの仕組みについて聞くことが出来ました。

よくシェアリングサービスでは、ブロックチェーンによって非中央集権にすることで中間搾取を減らせる、といったアイデアが挙げられますが、mercariXも実際に非中央集権でメルカリを実装したものがベースとなっているようです。

mercariXでは、中古品を売買するマーケットプレイスと、取引を仲介をするエスクローマーケットプレイスの2アプリが実装されていました。

マーケットプレイスアプリの方は商品の売り買いをするためのアプリで、既存のメルカリとインターフェースがとても似ていました。
特徴的なのはエスクローマーケットプレイスアプリの方で、マーケットプレイスアプリで売り買いする際、売り手と買い手のエスクローを実施することができます。

エスクローとは買い手と売り手を仲介することで、
商品や代金の受け渡し業務のことです。

エスクローの大まかな機能をまとめてみました。

商品の購入

代金をエスクローサービスに預ける

売り手に代金を預かったことを通知する

売り手が商品を買い手に発送する

買い手がエスクローサービスに商品の受け取りを通知する

エスクローサービスが売り手にエスクロー手数料を差し引いた商品代金を売り手に送金する

このエスクローサービスは既存のメルカリでは運営元のメルカリ社が実施しています。mercariXでは役割毎に2つのアプリに分けているのは、非中央集権になることでエスクロー役務がトークンエコノミーを支える重要な要素の1つになり得る、というアイデアによるものなのではないかと思いました。

私たちもブロックチェーンを活用したサービスの研究・開発を進めているところですが、ブロックチェーン技術の活用・応用の難しさは日々痛感しています。その中でもこのmercariXはブロックチェーンがうまく取り入れられていると思いました。

最後の方に質問でmercariXがもし実現したらメルカリは何で儲けるか?という質問が出て、エスクローをやるのも手だという話も興味深かったです。

パネルディスカッション

パネルディスカッションではDMMのCTO、メルカリのCPO、LayerXのCEOとCXOの3名が登壇されて進みました。
3人のブロックチェーンとの関わりから話は始まったのですが、メルカリのCPOの濱田さんの話で、実際にサーバーでLitecoinを掘っていた話はとても興味深かったです。

実は私も仮想通貨からブロックチェーンに興味を持ち始めたので、マイニングも1年ほど前に挑戦していました。
空いているデータセンターのサーバーリソースを使って数千コアを利用してマイニングしてみたのですが、正直その当時はインフラの稼働コストとトントン位で、あまり現実的では無さそうだったのと、OpenStackでやっていたのでホスト機側の負荷が高すぎて他のインスタンスに影響がありそうだったので辞めたのですが、同じような話をされていてとても共感が持てました。

最後の質問で「理想は全員がブロックチェーンを使える状態なのか、それともバックエンドで使われている状態なのか」という問いかけに対して、回答が3名とも後者だったのは意外でしたが、言われてみれば確かにそうかもしれません。
ブロックチェーン技術はよくインターネットに例えられますが、現在はインターネット上のサービスの多くがインターネット技術を意識せずとも成立しているのと同様に、ブロックチェーンという技術の存在を意識することなく、誰もが色々なところで自然と利用している状態になることが理想的なのだと思います。

ブロックチェーンとフルサーバレスでのシステム構築

Hi-Con 2018 ブロックチェーンとフルサーバレスでのシステム構築 from ALIS

ALISさんのセッションで、ALISのアーキテクチャに関する話でした。
インフラエンジニアの経験がある私としては、マイクロソフトと協業しているのにインフラはAWSというのがとても興味深かったです。

AWSのマネージメントサービスを活用してフルサーバレスを実現しているとのことで、興味があり、このセッションを聞きに行きました。実は弊社で開発しているサービスも完全なサーバレスを目指していたので、既にサーバレスを実現しているのは凄く参考になりました。

Lambdaだと実行時間に制限があるのでStep Functionを利用していたり、VPC LinkやVPC Integrationを活用していたり、まだ直面していない問題についても知見が得られたのは大きな収穫だったと思います。

あとはCognitoで後から変更出来ないので気をつけた方が良いという話やサーバー内部にデータを持っているようなサーバーはできるだけクラウドフォーメーションを使わないようにするなどフルサーバーレスを行う上での知見が盛りだくさんでした。

GitHubでもコードを公開しているようなので、是非とも今後参考にさせて頂きたいと思いました。
https://github.com/AlisProject

まとめ

色々なセッションを聞いてきましたが、ブロックチェーン技術をビジネスに適応させる方法について、様々な企業が知見を広げていると感じました。
私たちも動き出したばかりですが、早く追いつけるように頑張っていきたいと思います!

今回3名で行ってきたので、後半の残りは後日仲尾さんに紹介して貰う予定です。
乞うご期待!

後編はこちら

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