弊社も正会員として参加している「一般社団法人データ流通推進協議会」とは?

by 曽和 修平

データ流通推進協議会(DTA)とは

一般社団法人 データ流通推進協議会(Data Trading Alliance / DTA)は、データ流通、データ主導社会を実現するためのデータ取引事業を推進していくにあたり様々な技術的、制度的な環境を整備していくことを目的に設立された団体です。
設立日は2017年11月1日で、現在データ取引に関わるサービスの開発を進めている弊社も、正会員として参加しています。

DTAでは以下の4つの委員会が存在しています。

  • 運用基準検討委員会
    データ流通事業者のガバナンス、コンプライアンスを確保するため自主的なルールを取り決め、要件を満たす事業者を認定するための枠組みを作ることを目的とする

  • 技術基準検討委員会
    データ流通プラットフォーム間と提供者の連携のためデータカタログ、メタデータ、API、データ品質に関してガイドラインの作成や標準仕様化を検討することを目的とする

  • 利活用促進委員会
    会員や関係ステークホルダーとのコミュニケーション、プロモーション、支援活動を通じてデータ流通の活性化に貢献することを目的とする

  • 認定・監査委員会
    運用基準検討委員会、技術基準検討委員会が策定し会員により認定された基準に基づき、データ流通事業者の認定と監査を行うことを目的とする

DTAは元々、内閣官房情報技術総合戦略室や総務省、経済産業省における各ワーキンググループの検討から、民間の業界団体が主導となってルールを検討していく事が望ましいとの意見により設立された団体です。
このような背景もあって、データ流通事業におけるルールのデファクトスタンダードになっていくのではないかと思っています。

本稿ではデータ取引市場についての概要と運用基準検討委員会が最近公開した認定基準のドラフト版を簡単に紹介していきたいと思います。

データ取引市場について

データ取引市場は、取引市場運営事業者、データ提供者、データ利用者(提供先)の3つで成り立っています。

データ取引市場運営事業者

データ取引市場運営事業者は、データ提供者からデータを受け取り、データ利用者へデータを提供する仲介を行う事業者を指します。提供者と利用者が直接やり取りをするケースもあるかと思いますが、データ取引市場が存在することによりより多くのデータのやり取りが可能になるといったメリットがあります。
また、多くの提供者とやり取りをするためデータ取引市場運営事業者は完全中立的な立場が求められます。

データ提供者

データ提供者になりうるものとしては、PDS(Personal Data Store)、情報銀行、データ共有事業者、データ処理事業者などがあげられます。PDSと情報銀行は役割の違いはやや曖昧ですが、PDSは個人が主体となって自分のデータを管理するものであるのに対し、情報銀行は個人の情報の管理と運用を信託するような性質のものを指します。

データ利用者(提供先)

データ利用者は、データ取引市場にあがっているデータのカタログのようなものを確認し、活用できそうなデータの提供を受けます。

データ取引市場運営事業者の認定基準

データ取引市場運営事業者認定基準は現在、どのような観点で検討されているのかを簡単に見ていきます。
また、現在ドラフト版( https://data-trading.org/2018/09/28/pressrelease/ )が公開されていますので現時点での具体的な内容はそちらで確認することができます。

まず、データ取引市場運営事業者は以下の基本原則に拠って運営されるべきとしています。

中立性
自ら運営している市場で自己に有利な取引をしてはいけない。
自らは取引に参加しないこと、特定の相手に有利にならないようにする事が求められる。

透明性
データ取引の各プロセス(データ登録や注文、引渡、支払など)で取引ルールを定め、一般に公表し適切に運用していく。

公正性
データの仮装売買や馴合売買(あたかも取引が盛んに行われているように見せかけるため、同一人物or知り合い同士で販売→購入を繰り返すこと)のような取引価格の操作が行われて一部の者が不利益を被るような事がない仕組みを作らなければならない。

安全性
不正アクセスや情報漏洩がおこらないように安全対策を講じなければならない

法令遵守
適切に事業運営を行うため、内部統制を構築し運用をしなければらない。

このような基本原則の元、具体的な事項が決まっていきます。これらの基本原則は、当然ともいえる納得性の高いものとなっているような気がします。

ドラフト版の認定基準をみていても、「データ提供者には定型化された標準約款を適用しなければならない」など、データ取引市場の中立性といったものを意識している内容になっています。
中立性の確保により、同じデータが一定の合理的な価値に収束し、特色のあるデータに対しては価値が向上するといった市場原理をうまく働かせることがモチベーションの一つとなっているようです。
しかし一方で、内閣官房IT総合戦略室が出している「AI,IoT時代におけるデータ活用ワーキンググループ中間とりまとめの概要」では「PDS、情報銀行、データ取引市場はそれぞれ排他的なものではなく、同一の者が複数の機能を担うことも想定される」とあるので、必ずしもデータ取引市場事業者は取引に参加してはいけない、といったことはなくなる可能性もありそうです。

まとめ

今回は、データ流通推進協議会についてと、特にその中の運用基準検討委員会が定めているデータ取引市場運営事業者の認定基準について書きました。

恐らくDTAの中でも一番議論が進んでいるのがこの運用基準検討委員会で、そう遠くない未来に認定・監査が開始されそうです。データ取引市場を運営する企業はそう多くはないと思いますが、関連ビジネスをやられている方々にとっても、今後の動向を注視しておくと日本のデータ取引市場を考えるときの参考になりそうです。

この他にも、例えば技術基準検討委員会はデータカタログの基準やデータ品質の基準などを作成しようとしていたりと、いくつかの委員会が平行して進んでいます。これらがどう生きてくるのかはまだ見えませんが、着々と進んではいるようです。

内閣府の提唱している「Society 5.0」と呼ばれる日本が目指すべき未来社会の姿においても、データ流通というのは思想の要になっています。良い標準、基準が策定されデータ流通が促進されるかどうか、データ流通推進協議会には大きな期待がかかっています。

今後も動向を追っていきたいと思います。

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